1歳児の子育てをしていると、せっかく寝たと思ったのに夜中に起き出し、遊び始めてしまうことがあります。寝かしつけに苦労した後では、ママやパパもぐったりしてしまうでしょう。
実はこの行動には、1歳ならではの心身の発達が関係しています。多くの場合、成長の過程で見られる一時的なものです。この記事では、夜中に起きて遊ぶ原因を理解し、生活リズムの整え方、すぐに実践できる対処法までをわかりやすくご紹介します。
今夜から少しでも穏やかな夜を取り戻すためのヒントを見つけてください。
1歳前後は、赤ちゃんから幼児へと大きく成長する過渡期です。夜中に目を覚まし、遊びたがる行動の背景には、発達上の特徴や環境が影響しています。まずはその理由を知ることで、むやみに焦ったり不安になったりする気持ちを軽くしましょう。
1歳児の睡眠は、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)のサイクルが大人よりも短く、特に浅い眠りの割合が多くなっています。このサイクルが切り替わるタイミングで、ちょっとしたきっかけですぐに目を覚ましやすい状態です。
大人のように眠りが深くならないため、夢を見たり、物音で起きたりした後、そのまま完全に覚醒して「起きて遊びたい」気分になってしまうのです。これは睡眠リズムを確立していく過程で多くの子どもが通る道であり、自然な成長の証でもあります。多くの場合、2歳を過ぎると次第に治まってくることが多いようです。
1歳を過ぎると行動範囲が広がり、日々多くの新しい経験をします。公園で初めて遊具に挑戦した、保育園でたくさんのお友達と会ったなど、楽しくも刺激的な出来事は、子どもの脳に強い印象を残します。
脳は睡眠中に日中の記憶を整理しますが、興奮や刺激が強いと、脳がなかなか休むことができません。そのため、眠りが浅くなり、夜中に目が覚めた時に昼間の「遊びモード」が再開してしまうことがあります。就寝前のテレビやスマートフォンの光も脳を覚醒させやすいため、注意が必要です。
この時期は自我が芽生え、「自分でやりたい」「ママと離れたくない」という気持ちが強くなる時期です。後者の「分離不安」は、眠りが浅くなった時にふとママの姿が見えないと感じ、不安で目を覚ましてしまう原因になります。
そして、目が覚めて遊び始めるのは、単に眠くないだけでなく、「ママやパパにもっと関わってほしい」という気持ちの表れであることも少なくありません。寝る前にしっかりスキンシップを取ることで、子どもの安心感を満たしてあげることが大切です。
言葉でうまく伝えられない1歳児は、体の不調を泣いたり、いつもと違う行動で示すことがあります。夜中に起きてしまう背景には、以下のような身体的な原因が隠れているかもしれません。
チェックしたい身体的な要因
・歯ぐずり:奥歯などが生える時期のむずがゆさや痛み。
・鼻づまり:風邪などで呼吸がしづらい。
・暑さ・寒さ、布団や寝衣の不快感。
・空腹または夕食の食べすぎによる腹部の不快感。
これらの不快感を取り除いても症状が続く場合や、発熱などを伴う場合は、かかりつけの小児科に相談しましょう。
夜中に起きて遊ぶ行動を減らすためには、根本的に子どもの体内時計を整え、夜に自然と深く眠れる体のリズムを作ることが近道です。そのためには、日中からの過ごし方がとても重要になります。
人間の体は朝に日光を浴びることで、一日のリズムをスタートさせます。これは子どもも同じです。毎日なるべく同じ時間にカーテンを開け、朝日を浴びながら起床させる習慣をつけましょう。
この簡単な行動が、「朝は活動する時間」「夜は眠る時間」という認識を体に刻み込みます。曇りの日でも明るい光は効果があるので、続けることがポイントです。規則正しい起床時間は、その日の就寝時間の安定にもつながります。
お昼寝は夜の睡眠の質に直結します。長すぎたり、夕方遅くまで寝ていたりすると、夜になっても眠気が来ず、寝つきが悪くなったり夜中に目が覚めやすくなったりします。1歳児のお昼寝の目安は以下の通りです。
| 項目 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| お昼寝の回数 | 1回〜2回 | 午後の1回にまとまる子も増える時期です。 |
| 1日の合計時間 | 2時間〜3時間程度 | 個人差はありますが、これ以上長いと夜の睡眠に影響が出る可能性があります。 |
| お昼寝を終える時間 | 15時〜16時頃まで | 遅くとも夕方までには切り上げ、夜の就寝までにしっかり活動時間を確保しましょう。 |
お昼寝からなかなか起きない時は、優しく声をかけたり、部屋を少し明るくしたりして、自然に覚醒を促してあげてください。
体と脳をバランスよく適度に疲れさせることは、ぐっすり眠るための大切な条件です。天気の良い日は外遊びを取り入れ、体を動かす機会を作りましょう。
ただし、興奮しすぎるほど遊びすぎると、かえって神経が高ぶって逆効果になることもあります。就寝の2〜3時間前からは、絵本を読む、静かに積み木で遊ぶなど、落ち着いた遊びに切り替えることがおすすめです。日中の活動と休息のメリハリが、夜の安眠を作ります。
子どもがスムーズに入眠し、途中で起きにくい環境を整えることは非常に有効です。寝室の物理的な環境と、眠る前の心の準備(ルーティン)の両面からアプローチしましょう。
大人よりも感覚が敏感な子どもにとって、寝室の環境は睡眠の質を大きく左右します。次の点をチェックしてみてください。
室温と湿度:夏は涼しく、冬は暖かすぎない温度が基本です。一般的には、室温20〜22℃、湿度50〜60%が快適な目安とされています。寝ている子どもの背中に手を入れて汗をかいていないか確認するのも良い方法です。
明るさと音:就寝時は可能な限り暗くし、豆電球もなるべく避けましょう。真っ暗が不安な場合は、足元にごく暗い光を灯すなど、最小限に抑えます。屋外の音や生活音が気になる場合は、ホワイトノイズ(サーという音)を小さく流すのも一つの方法です。
寝る直前までテレビを見たり、追いかけっこをしたりすると、脳と体が興奮したままベッドに入ることになります。少なくとも寝る30分〜1時間前からは、家の中の照明を少し落とし、親子でゆったり過ごす時間を設けましょう。
お風呂は就寝の1時間前までには済ませ、体温が少し下がり始める頃に寝床につくのが理想的です。また、寝る直前のスマートフォンやタブレットの使用は、画面のブルーライトが眠気を促すホルモン(メラトニン)の分泌を抑えるため、避けるようにしましょう。
毎日同じ流れで寝る準備をすることで、子どもは「次は寝る時間だ」と自然に心と体のスイッチを切り替えられるようになります。これが「入眠儀式」です。
入眠儀式の一例
1. 寝室に行き、パジャマに着替える。
2. ベッドの中で、毎日同じ絵本を1冊読む。
3. 子守歌を歌う、または静かな音楽をかける。
4. 「おやすみ」の挨拶をして、電気を消す。
この流れを毎日繰り返すことが重要です。子どもは予測可能なことに安心感を覚えます。儀式を通じて安心して眠りにつけば、夜中に目が覚めた時も、再びこの安心感を手がかりに自分で眠りに戻りやすくなります。
それでも夜中に起きて遊び始めてしまった時、どのように対応すれば良いでしょうか。対応の基本は、「夜中に起きても楽しいことはない」と子どもが学習できるように、静かに、淡々と関わることです。
子どもがぐずったり動き出したりしても、すぐに抱き上げたり声をかけたりせず、少しの間(数分程度)その様子を観察しましょう。浅い眠りから自分でまた深い眠りに戻れる力は、この「少し待つ」時間の中で育まれます。
この時、安全が確保されていることを確認するのは大前提です。親がすぐに反応しすぎると、子どもは「泣けば(起きれば)構ってくれる」と学習し、それが習慣化してしまう可能性があります。まずは一呼吸置くことが大切です。
どうしても関わる必要がある時は、部屋を暗いままにし、声はささやくように低く静かにします。明るい電気をつけたり、「遊ぼうか」などと楽しい声をかけたりするのは逆効果です。
おむつ替えや水分補給が必要な時も、最小限の手早い対応に留めましょう。「夜中は暗くて静かで、何も起こらない時間」という雰囲気を一貫して保つことで、子どもは次第に夜中に起きることにメリットを感じなくなっていきます。
泣きがひどい時などは、背中を優しくトントンしたり、「大丈夫だよ」とささやいたりして安心させます。この時も、必要以上に目を合わせたり、長く抱っこして揺らしたりしないよう注意します。
大切なのは、完全に寝かしつけ直そうとしないことです。子どもが落ち着き、眠そうな様子が見えたら、すみやかに寝床に戻します。ママやパパが添い寝して寝たふりをし、相手にしないことで子どもが諦めて眠ることもあります。根気が必要ですが、一貫した対応が習慣を変える鍵です。
夜中の対応が続くと、どうしても睡眠不足と疲労が蓄積します。まずは養育者自身が心身を壊さないことが、長い子育てでは最も重要です。一人で抱え込まず、周囲を巻き込む工夫をしましょう。
パートナーがいる場合、役割を明確に分担することがストレス軽減に効果的です。「夜中の対応は交代制にする」「週に1度はどちらかが朝寝坊できる日を作る」などのルールを話し合ってみましょう。
頼む時は「手伝って」ではなく、「お風呂後の着替えをお願いしたい」「明日の保育園の準備をしてほしい」など、具体的に依頼すると協力が得られやすくなります。パパが子どもと寝かしつけに関わることで、ママだけが安心の対象ではなくなり、子どもの自立にも良い影響を与えることがあります。
家事や育児の完璧を目指す必要はありません。辛い時は、食事を簡単なものやデリバリーに頼る、洗濯物をたたまないでしまう、掃除を後回しにするなど、できるところから手を抜きましょう。
「すべてを完璧にこなさなければ」という思い込みが、最も心身を疲弊させます。10分でも良いので、自分の好きなコーヒーを飲む、音楽を聴くなど、小さなリフレッシュの時間を意識的に作ることが大切です。
どうしても夜泣きや夜中の起きが激しく、対処法がわからない、または一人では限界だと感じた時は、遠慮せずに専門家を頼りましょう。
かかりつけの小児科に相談することをおすすめします。身体的な原因がないか確認してもらえるだけでなく、夜驚症(睡眠時驚愕症)など他の睡眠障害の可能性についてもアドバイスが得られます。
また、自治体の子育て支援センターや育児相談窓口を利用すれば、同じような悩みを持つ親と話したり、一時預かりサービスの情報を得たりできます。「自分だけじゃない」と知るだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
1歳児が夜中に起きて遊ぶのは、睡眠リズムが未熟なことや、心身の発達に伴う一時的な現象であることがほとんどです。焦らず、成長の過程として受け止めつつ、できる対策から始めてみましょう。
対策の基本は、生活リズムの安定、快適な睡眠環境の整備、そして夜中の一貫した落ち着いた対応の3本柱です。すぐに効果が現れなくても、続けることで子どもの体内時計は少しずつ整い、夜通し眠る力が育っていきます。
そして何よりも、ママとパパが疲れ果ててしまわないようにすることが大切です。完璧を目指さず、パートナーと協力し、時には手を抜きながら、この時期を乗り越えていきましょう。家族みんなが笑顔で過ごせる安らかな夜が、一日でも早く訪れますように。