1歳になると、歩き始めたり言葉が出始めたりと、赤ちゃんの頃とは違った大きな成長が見られます。自我が芽生えるこの時期は、絵本の楽しみ方も大きく変化するタイミングです。一方で、「子どもがじっとしていられない」「どんな本を選べばいいかわからない」と悩む親御さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、1歳の成長に合わせた人気の絵本の特徴や、親子で笑顔になれる読み聞かせのコツをわかりやすくご紹介します。3歳までの大切な時期に、絵本を通じてお子さんとの絆を深め、豊かな心と言葉を育むヒントを見つけていきましょう。
1歳児向けの絵本を選ぶ際は、子どもの発達段階を理解することが大切です。視力が発達し、色鮮やかなものや身近なものに興味を示すようになるこの時期、どのような基準で選ぶと喜ばれるのでしょうか。
1歳のお子さんは、まだ手先の加減が難しく、絵本を力いっぱいめくったり、時には口に入れたりすることもあります。そのため、紙が厚くて丈夫なボードブック形式の絵本が非常に人気です。
ボードブックは角が丸く加工されているものが多く、小さなお子さんが一人で扱っても怪我をしにくいというメリットがあります。また、汚れを拭き取りやすい素材のものを選べば、清潔に長く楽しむことができるでしょう。
お気に入りの一冊になると、毎日何度も繰り返して読むことになります。破れにくい絵本を選ぶことは、親御さんのストレス軽減にもつながる大切なポイントです。まずは、お子さんが自分自身の手で自由に扱えるような、頑丈な絵本を一冊用意してあげてください。
ボードブックとは、すべてのページが厚紙で作られた絵本のことです。めくりやすく、耐久性に優れているため、1歳児へのプレゼントとしても定番のアイテムとなっています。
1歳児は、物語の内容を完璧に理解することはまだ難しいですが、言葉の「響き」にはとても敏感です。「ピカピカ」「ふわふわ」「ガタンゴトン」といったオノマトペ(擬音語・擬態語)が含まれる絵本は、子どもの耳に残りやすく、興味を引きつけます。
繰り返しのあるリズムに乗った文章は、お子さんの聴覚を心地よく刺激します。こうした絵本を読み聞かせると、お子さんが真似をして声を出し始めることも珍しくありません。リズムが良い絵本は、親にとっても読みやすく、自然と明るいトーンで声をかけることができます。
人気のある絵本の多くは、この「繰り返しのリズム」が非常にうまく構成されています。まずは短く、テンポの良い言葉で綴られた作品を手に取ってみてください。音を楽しむ経験が、言葉への興味を育てる第一歩となります。
1歳を過ぎると、自分の身の回りにあるものへの認識が急速に高まります。バナナやりんごなどの食べ物、靴や帽子などの身の回りの品、動物の鳴き声などが登場する絵本は、日常とリンクしやすいため非常に人気があります。
絵本の中で見たものを、実際の生活で見つけた時に「同じだね!」と共感できる体験は、お子さんの認知能力を高めます。また、挨拶や歯磨き、お着替えといった生活習慣をテーマにした絵本も、この時期から少しずつ取り入れていくのがおすすめです。
「自分ができること」が描かれている絵本は、お子さんの自信や意欲を育むことにもつながります。キャラクターと一緒に「いただきます」や「おやすみなさい」をする疑似体験を通じて、生活のリズムを楽しく学んでいきましょう。
1歳児に人気の絵本テーマ例:
・動物(ワンワン、ニャーニャーなど)
・乗り物(ブーブー、電車など)
・食べ物(くだもの、パンなど)
・挨拶(おはよう、さようならなど)
せっかく選んだ絵本も、読み方次第でお子さんの反応は大きく変わります。1歳児特有の集中力の短さを逆手に取り、自由で楽しい時間を演出するための工夫をご紹介します。
大人はつい「一冊を最初から最後まで順番に読むもの」と考えがちですが、1歳児にはそのルールは通用しません。途中でページを飛ばしたり、逆からめくったり、あるいは一ページだけで満足して本を閉じてしまったりすることもよくあります。
そんな時は、無理に引き止めずにお子さんのペースに合わせてあげましょう。「今日はこのページがお気に入りなんだね」と寄り添うことが、読み聞かせのコツです。無理強いをすると、絵本そのものが「嫌な時間」になってしまう可能性があるからです。
お子さんが興味を持った箇所をじっくり眺めるだけでも、立派な読み聞かせの時間です。最後まで読めなかったとしても、お子さんの瞳が輝いている瞬間があれば、その日の読み聞かせは大成功だと言えるでしょう。
1歳のお子さんは、言葉そのものの意味よりも、お父さんやお母さんの表情や声のトーンから多くの情報を読み取っています。少し大げさなくらいに声を変えたり、表情を豊かにしたりして読んであげると、お子さんの食いつきが良くなります。
例えば、大きな動物が出てきたら低い声でゆっくり、小さな虫が出てきたら高い声で素早く読むなど、変化をつけてみましょう。また、悲しいシーンでは少し困った顔、嬉しいシーンでは満面の笑みを見せることで、感情の理解も深まっていきます。
親が楽しそうに読んでいる姿こそが、お子さんにとって最大の魅力です。演技派になる必要はありませんが、お子さんと一緒にその世界に入り込み、リアクションを共有することを意識してみてください。親子のコミュニケーションがより深まります。
1歳半ごろになると「指差し」が盛んになります。絵本を読みながら「わんわんはどこかな?」「これは何かな?」と問いかけてみましょう。お子さんが指を差したら、「そうだね、わんわんだね!すごいね!」とたっぷりと褒めてあげてください。
このように、一方的に読み聞かせるだけでなく、お子さんからのアクションを引き出す「ダイアロジック・リーディング(対話型読書)」を取り入れるのがコツです。お子さんの反応を待つ余裕を持つことで、言葉のやり取りが生まれます。
まだ言葉が出ない時期でも、指差しや視線で十分なコミュニケーションが可能です。お子さんが何に注目しているのかを観察し、その対象について優しく説明してあげることで、語彙力や好奇心がどんどん引き出されていきます。
読み聞かせの姿勢も工夫してみましょう。膝の上に座らせて、後ろから包み込むように読むと、親の鼓動や体温が伝わり、お子さんに大きな安心感を与えます。
読み聞かせは単なる娯楽ではありません。脳が急速に発達する1歳の時期に絵本に触れることは、将来の基礎となる様々な力を育むことにつながります。
1歳は「語彙爆発」と呼ばれる、言葉が急激に増える時期を控えています。絵本には、日常の会話だけではなかなか使わない多様な表現や美しい言葉が含まれています。これらを繰り返し耳にすることで、お子さんの脳内に言葉のストックが蓄積されていきます。
絵と言葉がセットで提示されるため、お子さんは物の名前や状態を直感的に理解することができます。例えば、「赤いりんご」というフレーズとともに鮮やかなりんごの絵を見ることで、色と物の名前が結びついていくのです。
多くの言葉に触れることは、将来自分の気持ちを正確に伝える力にもつながります。読み聞かせを通じて、お子さんの心の中にたくさんの「言葉の種」をまいてあげましょう。焦る必要はありませんが、継続的な刺激が着実な成長を支えます。
1歳の読み聞かせにおいて、最も大きなメリットと言えるのが「愛着形成(アタッチメント)」です。大好きな親の声に包まれ、肌を触れ合わせながら絵本を楽しむ時間は、お子さんにとってこの上ない安心感をもたらします。
親が自分のために時間を使い、同じものを見て笑ってくれるという経験は、お子さんの自己肯定感を育みます。心が安定しているお子さんは、外の世界への探求心も強くなり、学習意欲や社会性も健やかに発達していく傾向があります。
忙しい毎日の中で、たとえ5分だけでも絵本を介して向き合う時間は、親にとってもリラックス効果があります。お子さんの温もりを感じながら、純粋に物語を楽しむひとときは、子育ての疲れを癒やしてくれる大切な時間になるはずです。
1歳児の集中力は非常に短いものですが、大好きな絵本を前にすると、驚くほどじっと見入ることがあります。一つのものに意識を向ける練習を繰り返すことで、徐々に集中力が持続するようになっていきます。
また、絵本は「ここにはない世界」を想像する力を養います。ページをめくるたびに新しい場面が現れる驚きや、次の展開を期待するワクワク感は、お子さんの脳を活性化させます。この想像力は、将来の読解力や問題解決能力の源となります。
たとえ短いお話であっても、一つの世界を共有し、そこにある色や形、物語を感じる経験は貴重です。幼い頃から絵本に親しむ習慣は、生涯にわたる「学ぶ楽しさ」を知るきっかけとなるでしょう。
読み聞かせによる主なメリットまとめ:
・言葉の数(語彙)が増え、表現力が豊かになる
・親子の絆が深まり、情緒が安定する
・他人の気持ちを想像する「共感性」が育つ
・好奇心が刺激され、知的好奇心が高まる
1歳と言っても、前半と後半では発達の度合いが大きく異なります。月齢や好みに合わせて、いくつか異なるジャンルの絵本を用意しておくと、読み聞かせの幅が広がります。
一日の終わりに読む絵本は、興奮を鎮め、入眠へと誘う穏やかな内容のものが人気です。「おやすみなさい」の挨拶が繰り返されるものや、徐々に画面が暗くなっていく演出がある絵本は、1歳児にも理解しやすく効果的です。
優しいトーンでゆっくりと読んであげることで、お子さんは「絵本を読んだら寝る時間」という入眠儀式を学習していきます。生活リズムを整える上でも、寝る前の読み聞かせは非常に有効なコツの一つと言えるでしょう。
こうした絵本は、親の方も穏やかな気持ちになれるよう、柔らかな色使いで描かれていることが多いです。おやすみ前のルーティンとして一冊お気に入りを決めておくと、スムーズに眠りについてくれる助けになります。
指先を動かせるようになる1歳児にとって、めくったり引っ張ったりできる「しかけ絵本」は最高のエンターテインメントです。何が隠れているのかを予想し、自分の手で正解を見つける喜びは、知的好奇心を強く刺激します。
穴が開いていて向こう側が見えるものや、布などの異なる手触りを楽しめる「触れる絵本」も非常に人気があります。視覚だけでなく、触覚や動作を伴う読書体験は、お子さんの多面的な発達をサポートしてくれます。
しかけ絵本は、お子さんが一人で遊び始めてしまうこともありますが、それも一つの学びの形です。「次はどうなるかな?」と一緒にワクワクしながら、驚きを共有する時間を楽しみましょう。ただし、パーツが細かすぎるものは誤飲の注意が必要ですので、対象年齢を確認してください。
1歳後半になってくると、単純な単語の羅列だけでなく、ほんの少しの物語性を楽しめるようになってきます。「行ってきます」をして、どこかへ行き、また「帰ってくる」といった、シンプルな起承転結があるお話です。
「だるまさんが」のように、同じような動きが繰り返されつつ、最後に意外な結末が待っているような作品は、1歳児の心をつかんで離しません。予測がつくことの安心感と、少しの変化に対する驚きのバランスが絶妙な作品を選んでみましょう。
こうしたストーリー絵本は、お子さんの記憶力を高める効果も期待できます。「次は何がくるかな?」という問いかけに対し、お子さんが自分なりに応えようとする姿が見られるようになれば、理解が深まっている証拠です。
| ジャンル | 特徴 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| おやすみ絵本 | 静かなトーン、繰り返しの挨拶 | 入眠の習慣化、安心感の付与 |
| しかけ絵本 | めくる、触るなどのギミック | 指先の知育、好奇心の刺激 |
| ストーリー絵本 | 単純な物語、繰り返しの構成 | 記憶力、予測する力の育成 |
理想通りに進まないのが1歳児の育児です。読み聞かせ中によくある困りごとに対して、どのように向き合えば良いのか、具体的な解決策をご紹介します。
読み聞かせを始めても、すぐに飽きておもちゃで遊び始めてしまう。これは1歳児には非常によくある光景で、決して親の読み方が悪いわけでも、お子さんの能力が低いわけでもありません。無理に座らせようとすると、逆効果になることもあります。
解決のコツは、「遊びながらでも聞こえるように読む」ことです。たとえおもちゃで遊んでいても、耳は親の声を聞いています。お子さんが遊んでいる傍らで、楽しそうに読み続けてみてください。気になるキーワードが聞こえると、ふと戻ってくることもあります。
また、お子さんの集中力が高い時間帯(起床後や食事の後など)を見計らって誘ってみるのも手です。どうしても興味を示さない日は、「今日はそういう気分なんだね」と潔く諦める心の余裕も、長く続けるためには必要です。
お気に入りの絵本を破られてしまい、悲しい思いをすることもあるでしょう。しかし、1歳児にとって紙を破る音や感触、口に入れて確かめる行為は、世界を知るための立派な探索行動でもあります。悪気があるわけではないことを理解してあげましょう。
対策としては、やはり冒頭で紹介したように丈夫なボードブックをメインにすることです。もし薄い紙の絵本を破ってしまったら、セロハンテープなどで補修し、「大切に読もうね」と優しく声をかけてあげてください。何度も補修した跡は、それだけたくさん読んだ証でもあります。
口に入れてしまう場合は、布製の絵本や、なめても安全なインクを使っているものを選ぶのが安心です。成長とともに、本は「食べるもの」ではなく「見るもの・読むもの」であることを自然と理解していくので、それまでは安全な素材で対応しましょう。
何度も同じ本を「もう一回!」と言われると、親の方は飽きてしまうかもしれません。しかし、お子さんにとって同じ内容を繰り返すことは、知識を定着させ、安心感を得るための非常に重要なプロセスです。
1歳児は、次に何が起こるか知っていることに大きな喜びを感じます。「予想通りになった!」という達成感が、脳に心地よい刺激を与えます。何度読んでも新鮮な反応を返してくれるお子さんの様子を観察して、その純粋さを楽しんでみてください。
どうしても親が辛い時は、「あと3回読んだら終わりにしようね」とあらかじめ回数を約束したり、パパとママで交代したりして乗り切りましょう。いつかは必ず飽きる日が来ます。その日が来るまで、とことん付き合ってあげるのも親の深い愛情です。
同じ絵本を繰り返すことは「飽き」ではなく「習得」のサインです。言葉のリズムや絵の細部までを完璧に自分のものにしようとしている、お子さんの素晴らしい学習時間だと捉えてみましょう。

1歳の時期における絵本の読み聞かせは、知識を詰め込むための学習ではなく、親子の心を繋ぐ温かなコミュニケーションそのものです。人気の絵本を上手に活用しながら、お子さんの反応を一番大切に、ゆったりとした気持ちで取り組んでいきましょう。
今回ご紹介したコツの要点をまとめます。
まず、1歳児の絵本選びでは、丈夫なボードブックやリズムの良い言葉、身近なテーマを意識することが重要です。読み聞かせの際は、最後まで読むことにこだわらず、お子さんの興味に合わせて双方向のやり取りを楽しむようにしてください。
また、読み聞かせには、語彙力の向上だけでなく、情緒の安定や集中力・想像力の育成といった、3歳までの成長に欠かせない素晴らしい効果がたくさんあります。時には本を破られたり、同じ本ばかりせがまれたりして大変なこともありますが、それはお子さんが順調に成長している証です。
無理なく、親御さん自身も楽しめる範囲で、毎日の生活に絵本を取り入れてみてください。絵本を通じて共有した笑顔や驚きは、お子さんの心の中に一生の宝物として蓄積されていくはずです。この記事が、皆さんとお子さんの絵本ライフをより豊かなものにする一助となれば幸いです。